高齢者を襲う究極のストレス~統合性V.S.絶望

統合とは、過去から現在までの人生を振り返ってそれらのすべてを受け入れること、そして将来やってくる自分の死を迎えることを指します。「人生と死を受容すること」とまとめることができます。

一方で、ここでいう絶望とは、これまでの人生を受け入れられず、修正不可能な人生に対して感じる絶望感や死に対しての恐怖を感じることを指します。

老年期の成人はこの統合と絶望感が混在し、互いに拮抗しあいます。そして、どちらかがゼロになるということはありません。一般に人生を振り返る中で、過去の嫌な体験、傷ついた体験が異なる意味(良い意味)を持つことが増えてきます。それにつれて、徐々に統合>絶望感の割合が増えていきます。そういう生き方ができれば望ましいというわけです。逆に統合<絶望感になっていった人は精神的な病を発症していきます。

老いるまでに生きたい人生を生きてこなかったと感じてきた人はこの絶望感を感じやすく、統合ができにくくなります。統合がうまくいかない人の特徴として、自分のせい、他人のせい、環境のせいで自分の人生が生きられなかったと振り返ることが多いなります。また、自分はその不幸に耐えられるだけの力があると強く自分をアピールするようになるか、どうせ自分なんてといった自己卑下になるのが特徴です。私はこの状態を一種の統合失調ととらえています。高齢者にとっては、この統合失調が強烈なストレスになっているのは普段の外来でよく感じます。

生きたい人生を生きることは、病気になりにくいとも関連します。どう生きるのか?が変われば、健康状態も変わります。あなたはどう生きますか?

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